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汗のにおいと多汗症対策

[2021.08.27]

汗をかく季節になり、汗でお悩みの方も多いかと思います。

暑い季節ではなくても汗をかいて困っている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

 

あまり知られていないのですが、汗をかくということは体温調節の他にもいろいろな役割があります。

今回は意外と知らない汗の基礎知識や、気になるにおい対策についてお伝えします。

 

 

 

 

 

 

汗腺には2種類ある

◎エクリン腺

エクリン腺は手のひらと足の裏以外の全身に存在する汗腺で、汗の量にするとほとんどがこのエクリン腺から出ています。

汗の一番大事な役割である温まったからだを冷やす役割を果たしているのもこのエクリン腺です。

体重70kgの人が100mlの汗をかくと体温が1度上昇するのを抑える効果があります。

 

 

 

そして気になるにおいに関しては、エクリン腺から出た汗は最初は無臭ですが、

1時間程度経過すると皮膚の表面の垢や皮脂と混ざって、細菌によって分解されにおいが出ます。

しかしエクリン腺からの汗はほとんどが水分のため、

この後説明するアポクリン腺から出る汗のにおいに比べるとにおいは少ないのです。

 

 

 

◎アポクリン腺

もう一つの汗腺がアポクリン腺で、これがワキガ臭の原因になっています。

アポクリン腺は脇の下、陰部、乳輪周り、手のひら、足の裏に存在する汗腺です。

 

 

 

アポクリン腺から出る汗は水分の他にタンパク質・脂肪を含んでおり粘り気のある汗です。

タンパク質・脂質の栄養成分を含んでいるために皮膚にいる常在菌がそれを餌にして繁殖するため独特のにおいが出ます。

それが、わきが臭といわれるにおいになります。

また、それらの栄養成分があるために洋服にアポクリン腺からの汗がつくと黄ばみとなる原因になります。

 

 

 

 

 

 

エクリン腺に比べてアポクリン腺からの汗の方が強いにおいが出ますので、

アポクリン腺は悪者にされがちな汗腺ですが、実は大事な作用があります。

それは、異性を引き付けるにおいだということです。

フェロモンという言葉で知られているように、

アポクリン腺から出る汗のにおいは自分と相性の良い異性を探すために出ているにおいなのです。

 

 

 

人は遺伝子的に似ている人のにおいは生理的に受け付けないようになっていて、嫌なにおいと感じるのです。

つまり、脇汗のにおいが嫌ではない人のことは生理的に受け入れられると考えても良いのです。

 

 

 

またアポクリン腺は成長とともに発達して加齢とともに小さくなりますので、

思春期には一番においが気になると思いますが、それは成長の証で繁殖能力が高い証拠です。

あまり気にしすぎないのも良いと思います。

 

 

 

発汗のきっかけ

汗の一番大事な役割は体温を一定に保つことですが、それ以外にも汗をかく場面があります。

緊張や不安を感じた時に交感神経が緊張して汗が出る精神性発汗というものと、

辛い食べ物を食べた時に汗をかく味覚性発汗というものがあります。

 

 

 

精神性発汗の対策

精神性発汗は手のひらや足の裏、脇の下、顔から出ることが多く、エクリン腺とアポクリン腺両方から汗がでます。

手汗や足汗で悩んでいる方はこの精神性発汗と温度調節のための発汗が両方合わさっていることが多いです。

 

 

 

精神性発汗を起こしやすい人は神経質・真面目な性格であったり、血糖値が乱れやすくて交感神経のスイッチが入りやすい場合もあります。

血糖値が乱れやすい方は現代人の中では多いので、その場合は甘いものをまずやめていただくと有効であることが多いです。

またストレスが多いと脳が指令を出して精神性発汗を起こしますので、ストレス対策もぜひ行ってください。

 

 

 

多汗症対策

多汗症とは体温調節のための汗よりも多くの汗が出て日常生活に支障が出ることを言います。

多汗症で困っている方の一部には糖尿病・甲状腺疾患・薬の副作用などが隠れている場合がありますので注意が必要です。

 

 

 

しかし多くの場合は特にはっきりとした原因がなくて困っていることが多いようです。

手のひらや足の裏の多汗症の場合は、先ほど述べた精神性発汗の場合が多いです。

性格だから仕方がないと思ってしまうとそれまでですが、汗をかいていることがストレスになってさらなる緊張を生み、

なかなか汗が止まらないという悪循環も起こります。

 

 

 

そんな方でも交感神経のスイッチが入りにくくするには、

まずは血糖値のコントロールをすることと、安全な場所で過ごすということを心がけると汗も改善することが多いです。

 

 

 

また、特定の状況で汗をかくという人がいます。

例えば担任の先生に会うと必ず汗をかく、上司を見かけると手汗が出てくるという場合には、

その相手が自分を脅かすと無意識に感じていますので、そんな相手との関係を一度見直してみることも大切です。

ある程度努力をしてコミュニケーションがどうしても取れなければ距離を置く方が良いでしょう。

 

 

 

このように繊細に感じていることの指標として手汗をかいている場合には、うそ発見器として使えます。

つまり、自分が無意識に苦手を感じている人や状態を手汗で判定できるのです。

 

 

 

汗対策について

汗の効能もありますが、どうしても汗を止めたい場合もあるでしょう。

その場合には制汗剤やお薬が有効です。

 

 

 

塗り薬

脇汗を止める塗り薬が最近日本で認可されました。

エクロックゲルというお薬で脇の多汗症について保険適応があります。

1日1回お薬を塗ることで、汗を出す指令の伝達物質のアセチルコリンをブロックします。

エクロックゲルは塗り薬なので血中への吸収はかなり少なく副作用もほとんどありません。

脇汗で悩む方には救世主となりそうです。

 

 

 

内服薬

内服薬での治療として、抗コリン薬と言われるお薬があります。

抗コリン薬はアセチルコリンの放出を止めることで全身の汗を抑える薬です。

全身に作用するためにのどの乾き・便秘などの副作用があります。

全身の汗の場合には、メリットデメリットを考えて使うこともあります。

 

 

 

 

ボツリヌストキシン治療

ボツリヌストキシンという注射のお薬で汗を止めることができます。

ボツリヌストキシンとはボツリヌス菌が作るタンパク質で、

それを皮下に注射すると4-5ヶ月の間アセチルコリンの放出を弱めることができ、汗が減ります。

4.5ヶ月で元に戻りますので対処療法ですが、効果は高いです。

保険適応ではありませんが、脇の下や手のひらに行うことがあります。

注射なので痛みを伴いますが、塗る麻酔を使って行うことができますのでご安心ください。

夏の間の脇汗が気になる方は、一度の注射でワンシーズン持続しますのでおすすめです。

 

 

 

汗のにおい対処法

汗のにおいでお悩みの方へ、日常で出来るにおい対処法についてお話します。

 

 

 

 

 

 

汗腺を鍛える

アポクリン腺から出る汗は、汗腺の働きが弱っていることにより

本来吸収されるはずのミネラルが出てしまっていることでべたべたになってしまいます。

べたべた汗はにおいの原因になるので、汗をかく習慣をつけて普段から汗をかくことでにおいを抑えることができます。

汗をかく習慣として、ウォーキングなどの有酸素運動とサウナがおすすめです。

 

 

 

朝シャワー・汗をまめにふく

汗は出たばかりの時はにおいはありませんが、その後細菌と結びつくことによりにおいが出てきます。

そこで、汗をかいたときにすぐふき取るようにすると細菌の繁殖を抑えることができ、においは軽減できます。

寝ている間にかいた汗を流すために朝シャワーを浴びることや、日中汗を拭きとる汗とりシートを使用することが有効です。

 

 

 

肝臓をサポートする(オルニチン)

実は肝臓は汗のにおいに関わっています。

肝臓にはアンモニアを分解して解毒するシステムがあり、オルニチン回路と呼びます。

オルニチン回路がうまく回らないと、汗からもアンモニアが出てくるので汗のにおいの原因になります。

オルニチン回路を回すために必要な栄養素がオルニチンというアミノ酸です。

オルニチンを含む食べ物はしじみが一番有名で、そのほかマグロ・チーズ・キノコ類などがあります。

一番おすすめはしじみですので、ぜひ積極的に食べてください。

 

 

 

肉類を控える

肉類の摂取量が多くて消化不良になるとアンモニアが発生します。

お肉を食べ過ぎると体が臭くなるという話を聞いたことがありませんか?

それは本当です。

実はお肉だけではなくて魚や卵など、動物性たんぱく質を消化する過程でアンモニアが発生して汗から出てきます。

汗のにおいが気になる場合は肝臓をいたわる他にも肉や魚の食べ過ぎに注意が必要です。

 

 

 

アルコールを控える

アルコールを飲むと、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが汗からも出て、においの原因になります。

においが気になる方はお酒の飲みすぎは控えましょう。

 

 

 

糖質制限をやめる

糖尿病の方や、厳しく糖質制限をしている人は細胞の中に糖を取り込むことができなくて細胞内飢餓の状態になります。

つまり、細胞が栄養不足になっているのです。

そこで糖の代わりのエネルギー源としてケトン体という物質を合成し、それが汗にも出て甘酸っぱいにおいがします。

糖質制限を厳しくしている方は、においが気になる場合には一度やめてみるとよいでしょう。

 

 

 

 

汗についてのまとめ

汗を出すということは視床下部または大脳辺縁系という脳からの指令で汗を出すように伝達され、

その命令が汗腺に伝わることで起こります。

なので、汗をかくということはいろいろな体のサインなのです。

暑いと感じているから汗をかく。異性にモテたいと本能的に感じているから汗をかく。ストレス過多で危機を感じているから汗をかく。

なんだか面白くないですか?

 

 

 

 

 

最近では、脇の多汗症に対しての保険処方のお薬もありますので

汗で困っている場合には皮膚科を受診することもおすすめします。

 

 

 

精神的発汗を止められるように自己トレーニングを行うには時間がかかりますが、

そこに人生の問題点が関わっている場合もあります。

もし問題があれば取り組んでみることもおすすめです。

どうしても困っている場合にはいろいろな治療法がありますので、ぜひ放置せず皮膚科で相談されるのが良いでしょう。

 

 

 

文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック  院長 祖父江 千紗

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