やけど
日常的なケガの一つである「やけど」による症状は皮膚科にご相談ください。
軽度ですぐに治るケースなら良いですが、重度の場合は受診をおすすめします。
以下ではやけどの種類や分類、やけどの際の処置について解説します。
やけどの種類
やけどと一重にいっても、種類は様々です。
細かく分類すると、以下の5つに分けられます。
- 温熱やけど
- 低温やけど
- 日焼け
- 化学やけど
- 電撃傷
以下では、とくに一般的な3つのやけどの症状について解説します。
温熱やけど
やけどの中でも最も一般的なものが、熱湯や火などの高温の物体に触れることで起きる「温熱やけど」です。
基本的にはほとんどの場合が、温熱やけどです。
低温やけど
低温やけどは、低温の熱源に長時間触れることで起きるやけどです。
温熱やけどのように、触れるもの自体は高温ではありません。
低温やけどの原因としてよくあるのは、電気カイロ、ホットカーペット、湯たんぽなどの瞬間的に熱さを感じないものです。
しかし、皮膚が密着した状態が続くと、皮膚の深い部分にやけどが生じてしまいます。
日焼け
紫外線による日焼けも、やけどの一種です。
そのため、温熱やけどのように、赤くなったり水ぶくれができたりします。
あまりにもひどい日焼けでない限りは、自然治癒します。
やけどの症状分類
やけどは深さによって3つに分類されます。
- I度熱傷
- II度熱傷
- III度熱傷
IからIIIにいくにつれ、症状が深刻化します。
以下では、それぞれの分類による症状について解説します。
I度熱傷
I度熱傷は、皮膚の表面だけのやけどで、適切な処置で後遺症なく治癒します。
表皮のみの損傷であり、深刻な組織破壊を伴いません。
症状は日焼けに似ており、皮膚の赤みが主な特徴です。
ほとんどの場合、傷跡を残すことなく自然に治癒しますが、適切なケアにより回復を促進できます。
II度熱傷
II度熱傷は水ぶくれを伴う深刻なやけどで、細かく分けると浅達性と深達性の2種類に分類されます。
浅達性II度熱傷は約1~2週間で治癒し、通常であれば痕を残しません。
一方、深達性II度熱傷は治癒に1ヶ月以上かかるケースがほとんどで、やけど痕が残る可能性が高いです。
症状としては、どちらもヒリヒリとした痛みを伴い、水ぶくれができます。
III度熱傷
III度熱傷は最も重症な熱傷で、皮膚全層に及ぶ深刻な損傷を引き起こします。
皮膚の全ての層が熱による傷害を受けるため、自然治癒が極めて困難であり、専門的な医療が不可欠です。
III度熱傷の特徴としては、皮膚が白くなったり、炭のように黒くなったり(炎による受傷)します。
治療には長期間を要し、入院して植皮術などを行うような外科的処置が必要となるケースもあります。
やけどした場合の応急処置方法
やけどをしてしまったら、まずはしっかりと冷やしてください。
熱による皮膚への損傷が深くなることを防げます。
また、やけどによる痛みが和らぎます。
冷却時間としては、約20分ほどを目安にしてください。
ただし、水ぶくれがある場合はできるだけ破らないように注意しましょう。
もう一つの注意点として、冷却する際は水道水を使ってください。
よく保冷剤で冷やす方がいますが、保冷剤は冷たすぎるために凍傷のリスクがあります。
さらに、保冷剤とやけどした皮膚がくっついてしまう恐れもあります。
ただし、あくまでこれらは応急処置ですので、冷却後は速やかにクリニックを受診してください。
やけどの後遺症
やけどには、後遺症として痕が残るケースがあります。
軽度のやけどであれば残らないことがほとんどですが、必ず後が残らないわけではありません。
以下で、やけど痕について、より具体的に解説します。
やけどをすると痕が残る?
やけどの後遺症は、熱傷の深さによって異なり、I度以外のやけどでは何らかの痕が残る可能性が高くなります。
適切な処置を行っても、完全に元の状態に戻ることが難しいケースもあります。
身近な例で言うならば、色素沈着も後遺症の一つです。
深達性II度熱傷やIII度熱傷においては、ケロイドや瘢痕拘縮(ひきつれ)といった深刻な後遺症が生じる可能性があります。
これらは見た目だけでなく、機能面にも影響を及ぼす可能性があるため、速やかな治療が必要です。
後遺症のリスクを最小限に抑えるためにも、やけどを負った際は迅速に医療機関を受診してください。
やけどの痕が残ったら消す方法はある?
色素沈着の痕は時間とともに改善していきます。受診していただくと、色素沈着を早く治すための塗り薬を処方することもあります。
ひきつれやケロイドになったやけどの痕を完全に消すことは難しいですが、適切な治療や処置により目立たなくすることは可能です。
ただし、やけどの具合によってどのレベルまで目立たなくできるかは異なります。
たとえば、皮膚移植をした場合でも植皮の痕が残ってしまいます。
反対に軽度なやけど痕であれば、適切な処置を行えば限りなく目立たないようにはできるので、一度ご相談ください。
やけどをした場合の相談先
やけどをした場合は、迅速に皮膚科までご相談ください。
やけどややけど痕が自然治癒するケースもありますが、実際に程度を見てみなければわかりません。
そのため、自己判断で放置してしまい、やけど痕が残ってしまうようなケースもあります。
痕を残さないためにも、やけどをしたらまずは一度クリニックを受診しましょう。